授記品

「完全な学識と勝れた所行を具え、この上ない幸いに到達して、最もよく世間を知り、人間を訓練する調教師であり、神々および人間の師であり、仏であり、世尊となるであろう。」(岩波文庫『法華経(上)』p301)「また、そこには、悪意をもつ悪魔が姿を現すことなく、悪魔の眷属どもも見出されないであろう。しかし、後になって、悪魔とその眷属どもがいるようになるであろうが、たとえそのようになっても、かれらは、その世界でかの尊き・・・の教えを受けて、正しい教えを受け入れようと努力するようになるであろう。・・・かれらの許で彼は仏の智慧をもとめて、純潔を守って修行するであろう。仏たちに供養し、この最高の智慧を得て、最後の化身において世間の拠りどころとなり、比類のない偉大な聖仙となるであろう。」(岩波文庫『法華経(上)』p303)「かれらは心をよく克服し、偉大な神通力を具え、広大な教えを説いた経典を信奉する聖者であろう。教えの王者である仏の汚れない弟子たちが、最後の肉身をあらわして、そこにいるであろう。」(岩波文庫『法華経(上)』p305)「われらの貧しい心を終わらせたまえ」(岩波文庫『法華経(上)』p307)「かれらは六種の神通力と三種の学識をもつ偉大な神通力の持主で、八種の解脱に通暁している。彼が最勝の「さとり」を説き明かすときに現す神通力は、考えられないほどである。」(岩波文庫『法華経(上)』p313)「彼は最後の化身を清浄な国土に現すことができて、仏となるであろう。この智慧を充満させたのち、幾千万億という人間に示すであろう。彼は神もともに住むこの世において崇められ、この世を照らし見張るかす仏となるであろう。・・・幾千万の神と人間の救済者となるであろう。」「人間としての自己の存在を捨てて、二万と八千の汚れなき聖者である仏たちを見るであろう。彼は仏の智慧を求めて、純潔を守って修行をし、そのとき世の指導者である仏たちを種々に崇め尊ぶであろう。・・・彼はそのあいだ常に人間および神々の間に仏の指導を説き明かすであろう。」(岩波文庫『法華経(上)』p321)「『未来において、ひとりでに仏となるであろう』」(岩波文庫『法華経(上)』p323)  

一切種智・・・諸法の総相を知る声聞・縁覚の一切智と諸法の差別を知る菩薩の智とに対して、平等と差別とを合せ知る仏の智慧をいう。(平等とは人間であり、差別とは垂直の秩序(スートラ)としての神=自然(魂・宇宙=仏・如来)である。)