ある鬱の子が飛び込んだ。随分と流されてもう助からないと思った。覚悟した。そして消防に助けられた。どうしてこんなことをしたんだろうって思った。寒かっただろうね。

禅では日々是好日とかいう。だけどそれはあり得ないと思われる。そのような時代となっている。このようなことがかつてあったのだったろうか。それを克服することは出来るのだろうか。彼はいった。出来る。彼は克服したからであるらしい。彼の内に秘めた何かがある。時代を掬わねばならない。 いつまでも浮かれてはいられなくなったようだ。

地に埋もれた知性が目覚める。 英知の蓄積がある。それが宇宙であり、魂だった。不思議な時代が訪れつつある。彼はいった。日本は大丈夫だよ。未来は明るい。 何を根拠にいうのだろうね。 代々の務めを果たすという。これまでとこれからは違う。

何故だろうね。自覚を要する。その時が来たのだろうか。 何を観たのだろうね。何を確認したのだろうか。詳細は明らかでない。 彼はいう。勝手が過ぎた。彼も知らなかった何かがあるという。それがサムシング・グレートだったのだろうか。よくわからない。しかし彼は何かを確信しているらしい。

真実とは神仏の実在とその邂逅であり、日本は卑弥呼の系譜邪馬台国大和正統日本で本来神国であるという。何だかアナクロニズムだね。そうでもないらしい。しばらく見失われていた。そして人間の勘違いと思い上がりがあったという。それが限界に達したのだろうか。

掬いはあるのだろうか。彼はあるという。 既に開発実験検証確認決定済みであるという。本当だろうか。本当だったら良いね。 その間、彼はすべてを失ったらしい。そして何が残ったのだろうね。樽のワッカかな。わかんないね。 しかし論証も済んでいるという。天が祝福し、地も喜んでいる。本当だろうか。

今宵も中天の月が輝いている。一点の雲もない。何てことだ。偶然に過ぎないと世間は思う。彼はいう。同じ轍は踏めない。人類は万物の霊長として生命体進化傾向に対して自己責任を負う。選択するべき時が近い。既に始まっているのかも知れない。

殺戮の時代は終わった。自覚がシフトした。故の試練があった。誰も知らなかった。彼は孤独にひとり乗り越えた。それが使命だったのだろうか。未来を拓く。過去を捨て去る。そして自由となる。それは素直さへの回帰だった。

黄泉の導きがあった。それは果たしたという。 丙丁童子来求火。火の性の子が火を求めてやってきた。はじめはわかっていなかった。お前がそれだった。鬱の子に対して頑張るという言葉はタブーとなっている。敢えていう。鬱の子よ、頑張れ!彼の目は動かなかった。輝いていた。鬱の子は彼の目を見た。そして頷いた。

言葉は言葉であって言葉でない。亦、言葉である。何をいってるの? 知る人は知る。知らない人は知らない。本当の幸せとは何だったのか。天の祝福と、黄泉の守護だった。持って生まれた属性がある。櫻もあれば梅もある。 彼は自覚した。彼は彷徨った。彼は帰ってきた。 世間一般、何をし来たる哉。彼の住むべき空間はなかった。吉田健一氏はいった。ないのであれば作るしかない。 頂を究める。何処から登っても良い。歴代の英知がある。同じ月を観ていたことだろう。 三十有余年の孤独に耐え、自由の身となって観る一点の雲もない天中天満月である。