しんじゅの木と華魂碑

2008.04.20

呉市中央公園は子どもの頃、広場だった。それほど大きいとはいえなくて、少年達が集まってソフトボールをする程度のものだった。その後整備されて、美しい公園となっている。その片隅に華魂碑がある。そしてその後ろ側に何故か一本の枯れ木がある。その木が何故そこにあるのか、或る市会議員に頼んで調べて貰ったら、名前が『しんじゅの木』とわかったのだった。初めてその木に気づいた頃は既に枯れていた。樹皮は真っ黒に焼け焦げていた。枝には鋭い棘があった。この度、久しぶりに訪れてみると、焼け焦げた樹皮はすっかりなくなっていた。そして枝の多くは朽ちたのであろう。この木にはことのほか思い入れがあった。自分の姿と見ていた。棘があるのもそうだった。そして訪れる度に、黒い樹皮がはがれていることに気づいていた。それはそのまま自己の悪性がとれていく鏡のように思われた。少し残った樹皮を見て、そろそろかなと思っていた。そしてこの度、すっかりそれはとれていた。多くの棘もその威力はなくなっていた。私は辿り着いたのかも知れないと思った。