彼は始めるのだろうか

2011-12-19

  • 彼はどのような力を確認しているのだろうね。子どもの頃より、知性において彼の右に出る者はいなかった。知る人は知っている。しかし彼には、あまりにも悲しい試練があった。十九の春がそれだった。そして埋没した。そして忘れ去られた。あるいは貶められた。残念だったね。彼を裏切るべきではなかった。その後、彼は何かを探していた。そしてそれを見つけているらしい。まさかそのようなことがあろうとは、彼自身驚いている。しかし、それも事実となった。測り知れない経験事実がそれを証明している。故に、眞實である。しかし周囲巷或いは誰もそれを知らない。いよいよ、時が来たのだろうか。彼は始めるのだろうか。それって、何だろうね。
  • 彼が中学校の頃、近くの海ではお化けハゼが釣れていた。頭だけ大きくて、身体は骨だけで身はない。また、コノシロの背びれ及び尾びれは一部溶けていた。あるいは背骨がぐにゃぐにゃにまがっていたり、うろこがはがれて血が出ていたりしていた。広東大川の河口では貝が全滅した。その後、ネズミに腫瘍ができた。それから、猫に腫瘍ができた。その川は埋め立てられた。また、浦にはまだ海岸があった。しかし、その海岸は重油のにおいがしていた。掘ってみると、何層にも重油の層があった。その中に、ゴカイが棲んでいた。そのゴカイは緑色をしていて下腹部はドロドロに解けていた。しかし、生きていた。その海岸は埋め立てられて岸壁となった。高校の頃には、部落研による教師を吊るし上げての全校集会が二度もあった。とても勉強する雰囲気ではなかった。大学では不法行為の一般的成立要件を研究し、公害訴訟のメカニズムを認識した。疫学的証明責任の転換と受忍限度論がそれだった。親友は仮登記担保と譲渡担保を研究した。そして思った。企業は何をしているのだ。その後、エリートコースで就職した。すぐに辞めてしまった。経済的地獄を見た。結婚もできなかった。派遣社員以下の個人請負などしていた。
  • 彼の高校以来のテーマは『何か失われた大切なもの』だった。それは何だったのか。それを見つけたらしい。そして人生がすべて感謝と喜びとなった。それはある。生きる意味が見失われている。自己利益追求及び物質偏重主義の故だった。本来日本はそうではなかった。幸せとは何だったのか。既に、定義できる。そして新しい時代を画する。彼の使命だった。彼でなければできなかった。それだけの能力は賦与されていた。彼の成績は、9教科中8教科、十を並べての断トツNo1だった。失われた自信は回復されている。彼は彼でよかった。しかし周囲巷は認めない。そしてどうなるのだろうね。誰も知らない。菅原道真が没した時、京都では激しい落雷があった。それで道真は天満宮に祀られた。風神草薙の剣。雷神金剛杵。